理事長就任のご挨拶
日本産業精神保健学会
理事長 田中 克俊

このたび、一般社団法人日本産業精神保健学会の理事長を拝命いたしました。長い歴史を有する本学会の運営を担うこととなり、その責任の重さに身の引き締まる思いでおります。
本学会は、働く人々の心の健康という課題に、研究と実践の両面から取り組む学術団体として発展してきました。産業医、精神科医・心療内科医、看護職、心理職、精神保健福祉士をはじめとする多様な専門職が集い、それぞれの専門性を生かして活動してきたことは、本学会の大きな特徴であり、強みでもあります。
今日の本学会があるのは、歴代理事長をはじめ、役員、代議員、そして会員の皆様の長年にわたるご尽力の賜物であり、特に、黒木宣夫前理事長のもとでは、学会の組織基盤や学術活動の充実が図られるとともに、精神障害の労災認定基準の策定・改正など、産業精神保健に関わる政策形成への貢献も進み、本学会の社会的役割は大きく広がりました。現在では、労働政策審議会をはじめ、国のさまざまな委員会や検討会において、本学会の会員が専門的知見を生かして活躍しています。こうした広がりは、これまで積み重ねられてきた研究と実践が社会から評価され、本学会に寄せられる期待が高まっていることの表れであると受け止めています。
それだけに、本学会が果たすべき責任もこれまで以上に大きくなっています。働き方や雇用形態の多様化、デジタル技術の進展、職場における孤立やハラスメント、精神障害者の雇用と就業継続、職場復帰、治療と仕事の両立など、産業精神保健を取り巻く課題はますます多様化、複雑化しています。こうした課題に向き合い、研究から得られた知見を職場での実践につなげ、さらに社会や政策へ還元していくことが、本学会には求められています。研究と実践、そして政策をつなぐ学会としての役割を一層高め、多様な職種や領域が交流し、そこから新たな研究や実践が生まれる場にしていきたいと思います。
そのためにも、会員の皆様にとって魅力があり、積極的に参加したいと思える学会であることが大切だと考えています。学術大会や学会誌はもとより、研修・教育の機会や、研究・実践・政策に関する情報提供など、日々の活動に役立つ取り組みをさらに充実させたいと思います。また、ご自身の関心に応じて各委員会や学会活動にも積極的に参加していただき、経験を積んだ会員と若い会員、異なる職種や立場の会員が率直に意見を交わし、互いに学び合える場として、本学会をさらに活性化していきたいと考えています。その中で、若い会員も遠慮することなく意見を発し、新しいことに挑戦し、それぞれの力を発揮できるような雰囲気を大切にしたいと思います。
会員の皆様には、ぜひ学会活動に積極的にご参加いただき、率直なご意見やご提案をお寄せいただければ幸いです。皆様とともに、よりよい学会をつくっていければと思っております。今後ともご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
令和7年8月吉日




